文具小説 文具探しの一人旅 season-2-4 第4話|潮風のことば、銚子のハガキペン朝早く、東京駅のホームに立つと、ほんの少しだけ風が涼しかった。それでも夏はしっかりと街に張りついていて、電車の窓を叩く光がまぶしく感じる。今日は日帰りで、千葉の銚子へ向かう。海が見たくなったのと、もうひ... 2025.07.31 文具小説
文具小説 文具探しの一人旅 season-2-3 第3話|湯気のことば、熱海の筆「暑い日こそ、温泉に行きたいんですか?」同僚にそう言われて、ちょっと笑ってしまった。けれど、そう。冷房の風に頼りきった体が、どこか奥のほうでずっと冷えたままな気がしていた。東京駅から新幹線でわずか50分。熱海へ... 2025.07.27 文具小説
文具小説 文具探しの一人旅 season-2-2 第2話|呼吸をする鉛筆、奥多摩の森で暑さが街にこもる夏の午後、私は東京駅から青梅線に乗り継ぎ、奥多摩を目指していた。エアコンの効いたオフィスに居続ける日々が続く中で、ふと「深呼吸したくなるような空の広い場所に行きたい」と思った。できれば、パ... 2025.07.17 文具小説
文具小説 文具探しの一人旅 season-2-1 第1話|波の記憶、鎌倉とインク東京に越してきて、ひと月。部屋にはまだダンボールがいくつも残っている。けれど、なんとなく心がざわついて、片付けを放り出したまま、ふらりと鎌倉に向かうことにした。都心の夏は、コンクリートの照り返しが強すぎて、言葉... 2025.07.06 文具小説