文具小説 文具探しの一人旅 season-1-4 第4話|暮らしをくるむ、デニムのペンケース大阪に戻ってきた朝、部屋の机に並べた3本の筆記具を眺めていた。ガラスペン、竹の筆、金箔の万年筆。それぞれが静かに、その旅の空気をまとっている。けれど、使い始めるには少しだけ、勇気がいる。どの道具も「... 2025.04.05 文具小説
文具小説 文具探しの一人旅 season-1-3 第3話|金箔の光、言葉の重み敦賀駅で乗り換えて北陸新幹線で金沢に向かう道中、窓の外をぼんやりと眺めながら、前日に京都で出会った竹の筆ペンの感触を思い出していた。言葉は、ただ書くものじゃない。ときには、静かに手のひらに包むものなのかもしれない... 2025.04.04 文具小説
文具小説 文具探しの一人旅 season-1-2 第2話|静けさの筆、祇園の路地で京都駅に着いたのは、午後の早い時間だった。大阪から電車でほんの30分ほど。けれど街の空気は、がらりと変わった。背筋がすっと伸びるような、静けさと気配。季節は同じ春のはずなのに、ここには時間の流れ方そのものが違... 2025.04.03 文具小説
文具小説 文具探しの一人旅 season-1-1 第1話|春の風、ガラスペンと喫茶店春の大阪は、人も風も、どこかせわしない。けれど、そのざわざわの中に、ほんのりとしたやわらかさが混じっているのが、不思議な魅力なのかも。朝の新幹線で大阪に着いた私は、大阪駅の人波に流されるようにして、街を歩き... 2025.04.02 文具小説
文具小説 文具探しの一人旅 season-1-0 プロローグ|旅は、一本のペンから始まった ペンを一本、なくしてしまった。ほんの些細な、けれど私にとってはちょっとだけ特別だったペン。学生時代に使っていた、黒インクのボールペンで、買った場所も正確な名前も忘れてしまったのに、握った感触だけはず... 2025.04.02 文具小説