万年筆 万年筆にときめいた日から 初めて万年筆を手にしたのは、子どもの頃。父の仕事の関係でドイツに住んでいた時期があり、現地の小学校では授業で万年筆を使っていました。あのとき、親に買ってもらった『Pelikan』の子ども用万年筆。それが私の万年筆人生の始まりでした。 2025.06.08 万年筆
文具小説 文具探しの一人旅 season-1-10 第10話|ことばのゆくえ、再出発の手紙大阪に帰ってきた夜、私は久しぶりに、何も予定のない週末を迎えた。窓を開けると、春の風がカーテンをゆるやかに揺らし、部屋の中に旅の空気がそっと入り込んでくる。机の上には、これまでの旅で出会った文具たちが並... 2025.04.11 文具小説
文具小説 文具探しの一人旅 season-1-9 第9話|言葉の居場所、オーダーノートの夜夕暮れの大阪駅、ホームにゆっくりと滑り込んできたのは、久しぶりに見るブルーの車体。かつて全国を走った寝台列車の面影を残す、観光寝台の特別便——行き先は福岡。夜の旅が好きだ。目的地に向かうよりも、その途... 2025.04.10 文具小説
文具小説 文具探しの一人旅 season-1-8 第8話|白いインク、雪のノートに神戸空港の展望デッキから見える海は、春の光にきらめいていた。朝一番の空港の静けさが、旅の始まりにちょうどいい。新千歳行きの飛行機を待ちながら、私は手帳をめくり、「雪のようなインク」という走り書きに目を落とす。... 2025.04.09 文具小説
文具小説 文具探しの一人旅 season-1-7 第7話|香りをまとう、墨のサインペン大阪から奈良へは、電車で小一時間。週末の朝、いつものように文具を連れて、小さな旅に出る。次の目的地に奈良を選んだのは、「香りのするペン」という不思議な言葉に惹かれたからだった。春の奈良は、どこか時間がゆっ... 2025.04.08 文具小説
文具小説 文具探しの一人旅 season-1-6 第6話|まっすぐを測る、木の定規大阪から特急列車に揺られて、長野県の松本に着いたのは、昼を少し過ぎたころだった。ここは山に囲まれた町。駅に降り立つと、澄んだ空気が肺の奥にまで届く感じがした。今回の旅の目的地に松本を選んだのは、ふと雑誌で見か... 2025.04.07 文具小説