書いた瞬間からはじまる

Pelikan Souverän M400・TWSBI・
Kaweco Art Sport Terrazzo
仕事以外の時は、いつも万年筆を使っています。
思い返せば、初めて万年筆を手にしたのは、子どもの頃。父の仕事の関係でドイツに住んでいた時期があり、現地の小学校では授業で万年筆を使っていました。あのとき、親に買ってもらった『Pelikan』の子ども用万年筆。何度かの引っ越しの中で紛失してしまい、現物はもう手元にありませんが、それが私の万年筆人生の始まりでした。


日本に帰国してからは、万年筆に触れる機会がなくなり、気づけばシャープペンシルやボールペンが日常の筆記具になっていました。
ある日、父の机の引き出しを開けてみると、革のペンケースが入っていました。中には、かつて父が大切にしていた『Mont Blanc 121』の万年筆がそっと収まっていたのです。こっそり取り出して試し書きをしてみると、ペン先が紙の上をすべるように走る、あの感触が鮮やかに蘇りました。


「自分でも、ちゃんとした万年筆を使ってみたい」。そんな思いが芽生えて、選んだのが『Pelikan Souverän M400』。
子どもの頃に使っていたペリカンが、今の私には「ちょっと背伸びした」大人の一本として再び手元にやってきたのです。

Kaweco Art Sport Terrazzo
Kaweco Sport 3色

ブラス万年筆(真鍮無垢)
万年筆の書き心地に夢中になってからは、可愛いポップな『KAWECO Sport』をM5の小さなシステム手帳に合わせたり、トラベラーズカンパニーの真鍮万年筆をトラベラーズノートに揃えてみたり。


文具女子博で出会ったペン先に猫の顔が彫られている万年筆や、雑誌の付録についていたSnoopy柄の万年筆。


クリックするとペン先が出てくる「キャップレス万年筆」は、外で絵を描くときに便利そうだと思って買ってみたり…。――これはもう、完全に万年筆の虜になっていますよね。
はじめて使った万年筆が『Pelikan』だったので、大人になった今も、やはり『Pelikan』から始めたい。ネットで調べて、気になったのが、ドイツの国らしい縦じまグリーンの透かし模様の入った『Pelikan Souverän M400』。
仕事帰りに立ち寄った文具店で、店長さんが試し書きをさせてくださったのですが、手に持ったときのフィット感と、紙の上を走らせたときのなめらかな書き心地に、思わず「うわぁ……」ってため息が出てしまいました。
一度でも万年筆の魅力を知ってしまうと、もう気持ちは止められません。
万年筆のペン先がスーッと紙の上を走るあの感触は、何度味わっても言葉にならないくらい気持ちいいんです。
高価なものもあれば、気軽に使えるものもあるけれど、それぞれにストーリーがあって、運命の一本と出会えたときの喜びは、本当に特別。何にも代えがたいものです。

